2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ペギー・グッゲンハイムという女性

美術コレクターのコレクション美術館の中でも、ヴェネツィアのペギー・グッゲンハイム・コレクションは妙に感情的で人間味の溢れる空間だと感じたのを覚えている。もちろん邸宅をそのまま美術館として開いているのだから、その雰囲気も手伝っていると思う。…

命名に共通する小さな悪意 -ロマネスクとゴシック-

普段私たちの使用している何気ない用語には、過去の人々の小さな悪意が潜んでいることがよくある。 妬みやプライドがそれらの言葉を作り出すのだが、その事実は薄れ意味を除いたその言葉単体で人々に認知されているのを目にすることは多いのだ。実は教会の様…

シャルトルブルーよりも美しいこと

シャルトルブルーが美しい暗がりの中で浮かび上がる、そんな神秘的なステンドグラス。ただのブルーではなく、長い時間をかけて空気中の微生物を身に纏いながら深みを増していった、誰もが見惚れるシャルトルブルー。ロダンをも魅了し幾度も通わせた大聖堂だ…

間違いのないパリのバゲット

パリ、モンマルトルの丘を下ったところABBESSES(アベス)駅の近くにあるPAIN PAIN。2012年にパリの最優秀バゲット賞を取り、一年間大統領官邸にも納めていた職人が2015年に新しく開いたお店。パリでパンを食べるときにはぜひおすすめしたい場所である。 鮮や…

好かれ上手なヘルメス

一般的にヘルメスがどれほどの知名度かわからないのだが、美術を勉強してきたものにとっては必ずこのギリシャ神話の神に悩まされた経験があると思う。なんなら私自身彼のせいで美術を学ぶか、諦めようか考えたことがあるくらいだ。なんか大げさな気もするが…

長老時計が眺め続けたパリの姿

シテ島の入り口、橋を渡りきったところに輝く大きな時計。何者かわからずとも、その存在感に多くの観光客がカメラを向けるのを見かける。特にこのあたりは隣にサント・シャペル、もう少し歩くとノートルダム大聖堂、土日には花や小鳥のマーケットで賑わう観…

黒くされたカラス

現代の日本では嫌われ者のカラスだが、そんなカラスにも綺麗な逸話がいくつか存在する。 都会の中とは違った綺麗な鳥に見える 一番有名なのはノアの箱舟に登場する鴉だと思う。ノアの大洪水の際、まず最初に放たれたのが鴉であり、吉凶を占うための鳥として…

《教会を知る Vol,1》数字を見つける

教会を読み解くためには、造られた年代や様式など詳しく知識を学ぶのが一番だが、専門家になるわけでもないし、奥も深く難しい。なので旅先でふと思い出せるくらいの、ちょっとした知識をこれから少しづつ記録していきたいと思う。 最初はキリスト教で重要と…

ロンドン地下鉄に見つける日本人デザイナー

私の好きな文字の中にロンドン地下鉄専用の"Johnston"という文字がある。 ただ自分好みのデザインということもあるが、ロンドンの街全体で愛され、長い間大切に使われている文字というのがロンドンを見渡すほどに伝わってくるところがいい。 なかなかそんな…

ヴェネツィアのサンタルチアに会いに

ヴェネツィアの玄関口、唯一の列車の発着口である駅にはサンタルチアという名前がついている。本来であれば南イタリアの聖人であるサンタルチア。なぜ彼女の名前がここヴェネツィア地で使われているのか。 結論は単純で、戦いの戦利品として奪い持ってきた彼…

パリの香水博物館、早すぎる閉館

先日、パリの香水博物館、ル・グラン・ミュゼ・デュ・パルファン(Le Grand Musee du Parfum)の突然の閉館の知らせに驚いた。たった5年の間だったのが本当になくなるのを残念に思う、綺麗な展示をしていた。 特にミュージアム好きとしては、いろいろのな人…

ピカソが用意した『洗濯船』での素敵な夕べ

パリ、モンマルトルにある洗濯船。そこはかつてピカソもアトリエとして使っていた芸術家たちの溜まり場で、美術史では大変重要な場所なのだが、今は火事が原因で現存はしていなく、当時の記録がほんの少し飾ってあるだけである。ガイドブックやいろいろな本…

未完のミケランジェロと完成のミケランジェロ

ミケランジェロは本当に天才なのか。彼は未完の作品が多い。それは未完であるが故の素晴らしさなのかもしれない。思考を巡らす隙があれば人の心は動きやすく、その余韻を必要以上に楽しむことができる。 ミラノにあるロンダニーニのピエタはそんな隙をつくよ…

パリのオペラ座のシャガールに隠された絵画

シャガールの最大傑作の1つ、『パリ オペラ座天井画』パリに訪れたのなら必ず見るべきとおすすめしたい。写真では感じきれない壮大で豪華で艶やかなシャガールの世界が、天井から降り注いでくる。私自身とりわけシャガール好きではないが、彼の世界に飲み込…

アーモンドの花と桜 - ピエール・ボナール展を観て

現在、新国立美術館で開催されているピエール・ボナール展にボナール最晩年の作品、『花咲くアーモンドの木』が来日している。ボナールといえば、“日本かぶれのナビ”とあだ名されるほどの日本好きである。その彼が最後に描いたのが桜にそっくりな白い花が咲…

ガウディ通り - 参道を通ってサグラダ・ファミリアへ

サグラダ・ファミリアの建築計画の中で教会以外にも完成されていなものがある。それはガウディ通りと言われる参道だ。当初はサグラダ・ファミリアから斜めに伸びる4本の参道が計画されていた。実現していればより神聖で象徴的な教会、サグラダ・ファミリにな…

パリのアパートPALAIS BRONGNIARDに滞在

少し長く滞在するときは宿泊費も食費にとっても、アパートはとても効率的。前回はパリのアパートに1週間の宿泊。日本人が経営しているため、アパート初心者でも安心して泊まれる場所で、待ち合わせもゴミのルールも鍵の使い方も何の不安もなし。 PALAIS BRON…