「アルヴァ・アアルト――もうひとつの自然」

アルヴァ・アアルトーー もうひとつの自然』が現在、神奈川県立近代美術館葉山で行われている。

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アルヴァ・アアルトフィンランド出身の建築家であり、家具ブランド『アルテック』の設立者でもある。
日本ではその椅子やシェルフ、花瓶などでよく知られているのではないかと思う。

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時代はコルビジェと同じく(10歳ほど年下ではあるが)1900年代前半から後半にかけて。
近代主義建築に北欧らしい新しい風を吹き込んだ人である。
私は建築家ではないので彼の技術的なところを読み解くことはできないが、個人的に感じたことを少し書こうと思う。

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私は彼の実際の建築を見たことがない。
それが今回展示を見るにあたり大きなネックになった気がした。
彼のいいところはタイトルにもあるように、北欧ならではの『自然』への敬意である。
寒空と生い茂る木々、雪の作る白い世界とひんやりとした空気、張り詰める静けさと誰もいないポツンと感。
それぞれの景色の中で調和がとれた建築物を存在させるアアルト。
そんな印象からただただその場に立って見たいという気持ちだけが増していった。
特に展示に付随する、現代写真家アルミン・リンケの写真も手伝ったと思う。
この建築物たちはその場に行かなければ何も理解できないというのが一番の感想だった。
展覧会を見ているとたまに同じような感想を抱くことがある。
ヴェネツィアの絵画なんかは特にそうである。何も変わらない街でそれを見るからこそその歴史の重さにハッとさせられるのだから。

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アアルトの良さには素材に熱心なこともある。
これもやはり『自然』との結びつきは強く、自然から学びよく研究を重ねている。
今回の展示でその側面を見られたことはとても興味深かった。
フィンランドは寒い国である。
そのせいか彼の建築は建物の内側に暖かい形をよく見かける。
特に木の生み出す曲線はいろいろな技術を持って建物から家具まで随所に見られるのが面白い。
タイルや銅、レンガなどパーツからなる素材の扱い方もグラフィカルな楽しさとモダンさがさりげないセンスをキラリと光らせている。

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椅子に使われる曲げ木も自然を生かした綺麗な技術である

葉山美術館は逗子駅からバスで20分ほど。
それこそ海に囲まれた自然の中に建っていて、美術館を出て少し歩けば日本らしい海が広がる。
アアルトの創った北欧の景色に出会うその時を想像しながら、日本のこの海の景色に感動する。
遠いようで、真逆なようだけれども、意外にも何かが似ていた。

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アルヴァ・アアルト――もうひとつの自然」
2018年9月15日(土曜)~11月25日(日曜)www.moma.pref.kanagawa.jp展覧会図録

アルヴァ・アアルト:もうひとつの自然

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神奈川県立近代美術館葉山
〒240-0111 神奈川県三浦郡葉山町一色2208−1
開館時間|9:30-17:00
休館日|月曜
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