奇跡に出会う旅 -ヴェネツィアで-

人間、『奇跡』という言葉にはつい惹かれてしまうのではないかと思う。
長く歴史に残るそれであれば、私にとっては更に魅力的に輝く。
ヴェネツィアに向かう前、手にした本の中に書かれていたガラスの奇跡は、そんな私を簡単に魅了した。

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ムラーノ島

ヴェネツィアと言えばヴェネツィアングラスをお土産にと考えない人はいなくらい、ガラスは有名な産業である。
無色透明なガラスを初めて作ったのもここヴェネツィア
特に本島から船で20分ほどのところにあるムラーノ島は、ガラスの島としてその名はよく知られている。
そのムラーノ島のガラス博物館に奇跡のガラスは飾られている。

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その奇跡は本島の一番賑やかな場所、サンマルク広場の鐘楼で起こった。
約100年程前、その鐘楼が一瞬のうちにその姿を崩すという事件があった。
一週間ほど前から亀裂が少し見えてはいたが、これといった予兆はほとんどなかった。
突然上からまっすぐ下へ、内側へ巻き込むような、奇跡的な崩壊が起こったらしい。
そして奇跡的にも誰も亡くなる事もなく、周りの建物すら少し削れる程度の被害で済んだと言う。
この時点でもすでに奇跡的なことが続いているのだが、この後その粉々になった瓦礫の中から無傷のガラスが見つかったのである。
すべてのものが跡形も無くなった中からそれは発見されたのだ。
これこそ奇跡のグラスである。
そしてこのグラス、鐘楼の崩壊前には誰もその姿をみたことがなかったらしい。
奇跡とともに少しミステリアスな香りもする。

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実際の奇跡のガラスは時とともに上下がかけてしまっていた。
ガラスというのは本当に脆く、儚い素材である。
ただこれを見つけた時の人々の驚きと、感謝はここに大切にしまわれている事実がしっかりと物語っている。
確実に奇跡は起こっていたのである。

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このガラス博物館には以前日本のテレビでも紹介されていたもう一つの奇跡のガラスも展示されている。
こちらは技術の奇跡である。
このガラス、人が歩く振動だけで螺旋を描く足の部分が、まるで柔らかい何かのように揺れるのだが、。
恐ろしい鑑賞体験であった。歴史的美術品を壊すかもしれない恐怖と隣り合わせなのだから。
でもただとても美しい奇跡であることには間違いない。

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ムラーノ・ガラス博物館

ヴェネツィアに行く機会があればここはぜひお勧めしたい場所である。
そしてその道すがらも私のお気に入りなので、またそれについても書きたいと思う。

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ムラーノ・ガラス博物館
Fondamenta Marco Giustinian, 8, 30141 Venezia VE, イタリア
開館時間 | 10:00-17:00
一般チケット | 12€
website |

museovetro.visitmuve.it

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